タイヤに窒素ガスを入れる意味は?

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タイヤに窒素ガスを入れる意味は? 

最近タイヤショップで「窒素ガス充填」という表示をよく見かけませんか?
空気の代わりに窒素ガスを入れるメリットとして、「空気圧が低下しない」ということは良く知られているようですが、それ以外にも「タイヤの温度による空気圧の変化が少ない」、「長い目で見てタイヤやホイールの劣化が少ない」といったメリットがあります。

小学生の頃、理科の時間に習ったのを覚えているかと思いますが、そもそも空気のおよそ80%は窒素で、残り20%のほとんどが酸素です。そこに窒素を充填してもどれほどのメリットがあるのか疑問に思われるかもしれませんが、純窒素を規定の圧力まで充填すると、タイヤ内の酸素の割合は10%以下まで減ります。この差が想像以上に大きいのです。

まず、ショップが窒素ガスを勧めるいちばんの理由でもある「空気圧が低下しない」というところから説明していきましょう。

エアバルブの劣化といったトラブルがなくても、タイヤのエアが少しずつ抜けていくことは、みなさん経験則としてご存知でしょう。タイヤは、骨格となるカーカスにゴムや強化ベルトなどを何層にも重ねて作られており、目に見えないミクロレベルの穴が無数に開いています。

酸素は分子の大きさが比較的小さいため、タイヤの中で激しく動く中でその微細な穴から少しずつ抜け出ていきます。また、タイヤのゴムには水素成分が含まれており、その水素と結びつく形で酸素が少しずつタイヤの分子の中に取り込まれいきます。これが自然に空気圧が下がる原因です。

対する窒素は酸素に比べて分子サイズが大きい上に、水素と結びつくこともありませんから、空気に比べてゴムを通して抜ける量が圧倒的に少ないのです。

次に空気圧の変化の問題です。酸素は熱が加わると膨張しますが、それによる空気圧の差は皆さんが想像している以上に大きいものです。私自身、かつて真夏に行われたバイクの耐久レースで、タイヤメーカーの方に空気圧を相談したところ、「路面温度がかなり高いので0.7kgにセットしてください」と言われました。要するにタイヤの温度上昇によって空気中の酸素が膨張し、0.7kgが適正値の2.1kgまで上がるということです。

一般走行ではここまで極端なことはありませんが、ドライブ途中で立ち寄ったガソリンスタンドなどでタイヤが暖まった状態で空気圧を合わせてしまうと、翌朝タイヤが冷えているときに空気圧が低くなってしまいます。窒素には酸素のような熱膨張がほとんどありませんから、タイヤの温度によって空気圧が左右されることがないわけです。

また、空気には水分が含まれており、酸素自体も活性ガスなので、長い目で見るとホイールやタイヤ内部のスチールコードに悪影響を与えます。対する窒素は不活性ガスで、ボンベから充填される純窒素には水分も含まれていませんから、そういった心配もなくなるわけです。

空気圧の低下は1ヵ月に1回程度ガソリンスタンドででも調整すれば済むことですし、温度による空気圧の変化も一般ユースでは実用上不具合が出るほど変わることはありません。しかし、タイヤショップの方から「空気圧に無関心で、1kgを切ったような状態で平気で乗っているお客さんが沢山いる」という現状を聞くと、「窒素ガスもありかな?」という気もします。窒素ガス充填はタイヤ1本でおよそ1000円。みなさんは入れますか?

(2001年5月28日)

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