ツール・ド・九州2003 イン 七山

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2003全日本ラリー選手権2輪駆動部門 参戦レポート

2003年9月27日(土)~9月28日(日)
2003年全日本ラリー選手権第7戦:モントレー2003

 今回のラリーは、ラリーストなら誰でも憧れると言われる、モントレーです。
 実は私、モントレーにエントリーするのは初めてです。(昨年はポイントの関係で、エントリーしませんでした)
 ラリーストの憧れとされるモントレー、どれだけ走らせてくれるのか、楽しみです。

 しかし・・・・・レキ前日、問題が起こりました。
 私の仕事の都合がつかず、レキに参加できなくなったのです。
 それが分かったのが24時すぎ。会社から上原さんに電話して、レキには上原さんだけが行くことに。
 初めて出るラリーなのに、レキに参加できないなんて、思いっきり不利です。上原さんに申し訳ない気持ちでいっぱいですが、プライベーターである私たちは、仕事をしなくてはラリーはできません。
 悔しいけれど私にできることは、明日、なるべく早く仕事を終えて、現地に入るしか他にありません。

【9月26日(金):レキ当日】
 仕事をしていると、上原さんからばんばんメールが入ります。
 「すげえ!『まむし注意』とか書いてる看板があるぞ!絶対リタイヤしたくないな」
 「誰もが俺を見てびっくりするぜ!1人でレキやってるのって俺だけだ!!レキは順調だぜ!」
 決して大変じゃないなんてことはないはずだけれど、少しほっとしました。
 ごめんね。明日、がんばります・・・。

 漸く仕事を終え、上原さんと合流。
 「俺、ノート作っといたから写したら」
 「うん、ありがと。・・・・うっ。よ、読めねえ・・・」
 「ううむ・・・俺が見ても読めないな(爆)ちょっと、思い出しながら読みあげるよ」
 せっかくノートという形になっているのに、これをまた上原さんが読み上げ、私が書き取るという、
 レキと同じ形式になってしまいました(笑)
 全てのノートを読み上げ終わったときには、上原さんの声は枯れていました。ありがとう、ごめんね・・・。

【9月27日(土):第1ステージ】
 ついにラリー本番です。
 前日まで仕事でばたばたしていたため、ちっともラリー気分になりません。
 おまけに、初めて出るラリーなので、緊張してきました。
 ううう、緊張する・・・
 まずは、サイクルスポーツセンターでのSSです。
 ここは去年、ダンナのサービスとしてついてきたときに、ギャラリーをした思い出があります。自転車が走るというのでもっと小さなコースを予想していたのですが、道幅は広いし、起伏はあるしで、なかなかに面白そうなコースで驚いた記憶があります。
 さて、RX-7はどれだけ速くなったのか・・・・?

SS1(約4.1km)
 3・・・2・・・・1・・・スタート!!
 スタート後、いきなりのストレートです。いっけええええーーーーー!・・・あれ?
 お、遅い・・・・改善されていないっ(涙)!
 せっかくのストレートも、広い道幅も、RX-7の良さも上原さんのドライビングの良さも、これじゃ活きません(涙)
 もどかしい!悔しい!
 「踏めっ!踏めええええっ!」
 上原さんの横に乗って、「踏め」と言ったのはこれが初めてではないでしょうか。
 言ったとしても、側溝や土手に落ちたときに「(復帰のために)踏め!」と叫んだことがあるくらいです。
 「踏め!」と叫ぶ=「どうなってもいいです」という公式が成り立ってしまうような上原さんに対して、「踏めえっ!」
 と叫ぶことはそうそうないでしょう。ある意味とても貴重な経験になるのかもしれません(笑)

 途中、4速全開ドリフトで「あわや」というシーンもありましたが、なんとかゴール!
 「前ゼッケン何秒っ?」「40秒!!」
 ・・・・12秒も離されてる。
 マシンはぜんぜん出来上がってない状態だし、そう考えるとこのタイム差は当然なのかもしれませんが、何よりも1本目からこのタイム差では、精神面に影響が出かねません。
 悔しい・・・・
 そんな私の心配をよそに、上原さんは「おっ、ブーストが前回よりも0.5多くかかるようになった♪」などと喜んでいます。
 うむむ・・・前向きにがんばるしかないな。

SS2(約8.7km)
 上原さんの作ったペースノートで走る、初めての林道SSになります。
 見通しの良いサーキットと違って、ノートの読み上げのミスは致命的となります。ちょっと緊張・・・・。
 「よし、がんばろう!」「おう!」
 3・・・・2・・・・1・・・・・スタート!!
 くう・・・立ち上がりがきつい!エンジンふけろっ!
 自分が全く見ていない林道なので、ノートを合わせるのが結構難しいです。RX-7の走りにも慣れていないので、
 タイミングを合わせるのにも苦労しつつ、必死にノートを読み上げます。うん、今のところ、ノートは問題なさそうだ。
 上原さんも、立ち上がりの遅いRX-7を扱うのに苦労しています。私のノートの読み上げタイミングで、立ち上がりを意識した走りにできれば・・・・そのとき!
 「5L、3.5R!!」
 3.5Rが見え、ブレーキングポイントにさしかかったとき、予想していたのと違う感触が・・・・滑ってる!!
 あっ!!と思った時にはもう、3.5Rのコーナーに、まっすぐに突っ込んでいました。
 上原さんはブレーキを踏んでいるはずですが、全く手ごたえがありません。『泥に乗った!』頭の中で確信しました。
 目の前には電柱と木・・・・。とっさに体を軽くかがめて、衝撃を吸収する体勢をとりました。電柱に突っ込むと、きっとかなりの衝撃があるはず・・・私はいつも(いつもって・・・)、突っ込むときは最後まで前を見るようにしています。
 どこからどんな風に刺さるのか。それは、自分の身を守るためにも、コースに復帰するためにも、必要なことだと思うからです。
 ほんの数秒でしたが、私の目には、電柱と木がどんどん近づいてくるのがはっきりと見えていました。
 「くる!!」
 一瞬、体が衝撃で前にのめり、顔を上げると、右フロントには電柱、左フロントには木・・・フロント周りがぐちゃぐちゃになっているのが分かりました。
 思ったより衝撃は軽かったけれど、マシンへのダメージがどれだけあるのかが分かりません。戻れるか?戻れないか?
 「バックして!復帰してっ!」上原さんがエンジンをかけて、バックギアに入れ、アクセルを踏み込みます。
 「・・・・・だめだ!出らん!!三停板!!」
 慌ててドアを開けると、強い抵抗があって、「バキッ」という音とともにドアが開きました。
 見ると、ドアの高さまで土手があって、ひっかかっていたようです。そっか、それで思ったより衝撃なかったんだ・・・。
 そんなことを冷静に考えながら、三停板を持って、手前コーナーに走ります。
 数台が無事に通過するのを見送って、ほっと一息つきました。

 ふと、振り返ってマシンを見ると・・・・
 泥の上に、まっすぐに滑った跡が残っていました。
 「これじゃブレーキ効かんわな」
 「見事に乗ったねー」

 こうして、あんなにばたばたしてまで出走した私たちのラリーは、わずかSS2の2km地点をすぎたあたりで、終わりとなってしまいました(涙)
 応援してくださった皆さん、手伝ってくれた皆さんには、本当に申し訳ない結果となってしまいました。
 ごめんなさいm(_ _)m

 ちなみに、このリタイヤの後・・・・
 オフィシャルに、「この道はまた使いますから、2ステで全車通過するまでここにいてください!」と言われ、私たちはお昼ご飯にもありつけず、上に着る上着もなく、えんえん4時間以上も、森林浴を楽しむこととなりました。
 おかげですっかり、仕事の疲れがとれました(笑)
 (写真は、RX-7のボンネットでお昼寝する上原さんです。)

 さて、毎回のおまけ。
 「そうだ、ダンナにリタイヤ報告しなくっちゃ」(ダンナは今回エントリーしていませんでした)
 「おう、そうだ!ついでに積載で迎えにきてもらおうぜ!」
 プルルルル・・・・・
 「あ、もしもし?あたし。あのね、今、リタイヤしちゃった。でね、自走できんけんね、積載で迎えにきてえー」
 「・・・・ま、まじですか!?」

 次戦は北海道、上原さんお得意の、オールダートです!
 次こそ絶対絶対、絶対勝ちます!!

【最後に】
 上原さんの参戦レポートにもありましたが、このラリーで2駆Bクラスの大竹選手が、競技中のクラッシュにより、亡くなられました。
 私が全日本に上がったときからずっとエントリーしていた方で、私も関東の選手を紹介してもらったことがあったりと、お世話になった方でした。
 ラリーを知らない人は、主催の方法に問題があったとかコースの状態がどうとか言う人もいるようですが、そのような問題があったとは思っていません。もちろん、クルーの安全体勢にも問題があったとは聞いていません。クルー2人にとっても、私たちラリーストみんなにとっても、本当につらく悲しい、残念な事故でした。
 ラリーというのは公道を使う競技で、当然、コース外にはさまざまな障害物があります。けれど、「ラリー=危険」というわけではないと思います。
 ラリーに拘わらず、何をしていても、あるいは何もしていなくても、何が起きるかは誰にもわかりません。
 私は、「これは危険だからやらない」のではなく、「いつ何が起きたとしても、後悔しないように、人生とラリーを楽しみたい」と思っています。
 そのために、できる限り安全性を高めたマシンを作り、信頼できるドライバー(?)と組んで、最善の努力を心がけています。
 この事故で、ラリーというものが誤解されないことを祈っています。
 大竹選手のご冥福を祈りつつ・・・。

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