2003 RTC Rally in Shintoku

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2003全日本ラリー選手権2輪駆動部門参戦レポート

2003全日本ラリー選手権2輪駆動部門ドライバー参戦レポート 第8戦2003 RTC Rally in Shintoku

2003年10月11日(土)~10月12日(日)
北海道十勝郡新得町周辺約250km(SS:オーグラベル路面)
タイムスケジュール:第1セクション・・・・11日17時01分スタート SS2本
          第2セクション・・・・12日07時00分スタート SS4本
          第3セクション・・・・12日12時00分スタート SS4本
                    → 合計SS10本(約55km)
天候:晴れ 路面:ドライ

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出発~現地到着

やって来ました、北海道。2年ぶりの北海道のラリーです。北海道のラリーに出場するのは非常に大きな楽しみなのです。なぜなら、①ほとんど100%ダート(グラベル)路面のSSで構成されている、②雄大な自然の中を走れる、③1本のSS距離が長い、からです。オーガナイズ(オフィシャル)もしっかりしたところが多い上に、さすがは国際ラリーを開催しているだけあって、観客へのアピール、見せるラリーという観点からいろいろな努力がなされています。今回のRTC Rallyも先月開催されたAPRC(アジア・パシフィック・ラリー選手権)のラリーとほぼ同じフィールドでの開催。事前にインターネットのHPでも情報が得られたり、ギャラリー案内なども流されて、嫌でも雰囲気が盛り上がってくるのでした。
 木曜日、仕事を終えて埼玉県三郷のシャフトモータースポーツへ。今回のニューマシン、スターレットターボは本番前日・・っていうか、出発間際に完成!またまた練習ゼロ状態。三郷から茨城県大洗のフェリー埠頭までの移動区間でまずは各所のポジションを身体に覚えさせる・・・んで、フェリーに19時間半。長~~~い航海を終え、金曜の夜、着いたのは苫小牧港。昼間のうちに飛行機で移動したナビが港に来てるはず・・・。携帯電話をかけてみると・・・『あ~、お疲れ~!今着いたん?あと3時間くらいかかるね?』『ん?今どこにいるの?』『もう宿に荷物置いて隣の焼き肉屋で飲んでる』『・・・・・あっそ・・・』
仕方ないので、一緒にフェリーで遠征した加納選手(全日本初挑戦です)、NRS(Nissan Rally Service)チームの若槻選手と3台で苫小牧から移動となりました。早く到着したかったので、晩御飯もセブンイレブンのスパゲティ・・北海道に来てるのに~! (ToT)
 国道で約2時間半、十勝山脈を越え、23時頃、新得町の宿に到着しました。ナビと久しぶりの再会。『こいつすでに焼酎飲んで、風呂まで入ってやがる!』 とりあえず再会と明日からの健闘を誓って発泡酒で乾杯!疲れたのでその夜は簡単に眠りに就きました。

レキ&初日
 朝5時半に起床。6時にホテルを出て、スタート会場へ。7時からレキの受付して7時40分出発。まずはロングの2本の林道へ。ここは先月行われたAPRCでも使用された林道です。移動途中で気づきましたが、ガソリンが残り少ない!昨夜150km移動してきてそのままなので仕方ないのですが・・・まあ、1回くらいはレキできるでしょう。まずは8.17kmの林道。北海道らしく長いストレート、緩やかなコーナー、広い道幅のフラットダート。後半は次第に狭い部分も出て、緩やかな上り。最後の数百mは細い枝道に入って急激な上りでフィニッシュ。そのまま2本目の林道へ。今度は山2~3個挟んで反対側の斜面かな?もちろん下りになります。距離は6.24km、先程の林道より道幅はやや狭く、コーナーもきつめの所が多い感じです。でも、私は下りが大好き!この林道、結構スピード乗って面白そう!!
 フィニッシュまでペースノートを書いて、ふと気づくとFUEL警告灯が赤々と点灯しているではないですか!一番近くのGSをオフィシャルに聞いて、直行。この2本の林道の2回目のレキは行けませんでした。
 満タンにしてから3本目の林道へ。ここはスタート会場のすぐ横。ギャラリーステージになる林道です。2.44kmしか距離がないので、あまり差は付かないかも知れませんが、前2本と比べると、北海道らしからぬツイスティで路面も浮き砂利だらけで相当滑りそうです。
レキは午前中で終了。昼御飯を食べて、午後は受付、車検、ドライバーズブリーフィングと続きますが・・・時間が空きすぎ!スタートは17時だよ????

 で、なんだかんだ言いながらも、時間は確実に過ぎていき、いよいよスタート。スタートして数百mでSS1ギャラリーステージです。
 今回のエントラントリストです。ゼッケンは現在のポイント順。栃木で5位完走しかしてない私は7番でした。

NoDr Nv備考
1 吉井 崇博 鍋倉 正彦 若手No1の速さを誇るチャンピオン候補(EP82T)
2 長谷川 哲 鈴木 一也 毎戦入賞、群馬では優勝。波にのってる堅実派(EP82T)
3 三好 秀昌 市野 諮 フェアレディZで栃木優勝!世界レベルのドライビング
4 大庭 誠介 高橋 浩子 4駆Cの常連。往年のADVANチームドライバー(EP82T)
5 平山十四朗 古賀 勝美 九州の超ベテランコンビ。CR-X turboで出場。
6 野島 健一 野島百合子 AE92 FXにsuper chargerを載っけて来た!
7上原 淳飯田有希子 ナプロフクシマ・シャフト・スターレット
8 前田 力 山吉 幸博 スカイラインターボで出場

第1セクション
 北の大地、北海道の十勝山脈に太陽が沈んでいく・・。空は茜色に輝き、大地を照らす。17時。いよいよRTCラリーが始まります。まずはスタート地点からほんの数百m走っただけで着いちゃいました、SS1。

SS1(ダート 2.44km フラット、後半下り)
 さあ、いよいよスタートです。スターレットターボはどんな動きをするのでしょう?とりあえずは全開で走ってみて、考えましょう・・。スタートして2つ目のコーナーがギャラリーコーナーです。2速全開できれいにドリフトを決めました。しかし、その先の右コーナーからリアがポンポン横に出ていきます。『ひえ~、EPってこんなにじゃじゃ馬なんだあ~』下りに入るコーナーでは右側は完全に側溝(幸いU 字溝でなく、土を掘っただけの溝)に落ち、車体が斜めを向きながら走行。ヘアピンを2つクリアしてフィニッシュ!『ゼッケン7番』『はい2分12秒7』『ここまでのベストは何秒ですか?』『13秒7』おお!速い奴がいるなあ・・・うちは12秒7。あれ?『ねえ、うちがベストじゃないか?』『あ、本当だ!』と言うわけで、いきなりSS1でトップに立ってしまいました。
 このSSでゼッケン8のスカイラインがギャラリーコーナーでコースアウトリタイヤになりました。

SS2(ダート 2.44km フラット、後半下り:SS1と同じ)
 さて、もう一度ベストを出せば、気持ちよくホテルで祝杯を挙げてゆっくり今夜は眠れそうです。しかし、EPは結構じゃじゃ馬だね?と思った私は、徹底的に進入を抑えて、クリッピングからアクセルを踏んでいき、LSDを利かせながら前が引っ張っていく・・・そんな走りをしたいと考えました。しかし、思った通りに走れれば、みんなチャンピオン!なかなかそううまくは行かないのが常です。スタート!ギャラリー前を今度はグリップで慎重に通過。次の直線のスピードの乗りはやはりこっちの方が速い気が・・。コーナー手前できっちりブレーキング、ゆっくり曲がって立ち上がり重視!おお!安定した走り!先ほど落ちた側溝にも近付かず、トコトコとスターレットは走行します。フィニッシュ!ナビ側のコンピューター表示ではさっきより1秒遅いタイムが表示されています。『あ~あ、タイム落ちちゃった』 オフィシャルに聞きます。『ベスト何秒ですか?』『13秒9、あなたたちがベストだよ』 2人とも『お~っ!』と声を上げ、『これで初日トップ!さあ風呂入って、ビール飲んで寝るばい!』(おもいっきり九州弁)

第1セクション結果

順位 No Dr./Nv. 車名 SS1 SS2 total
1 7 上原/飯田 ナプロフクシマ・シャフト・スターレット 2'12"7 2'13"9 4'26"6
2 4 大庭/高橋 REPSOL・ADVAN・スターレット 2'13"8 2'15"5 4'29"3
3 6 野島/野島 ポテンザ・カローラFXスパーチャージャー 2'13"7 2'18"9 4'32"6
4 2 長谷川/鈴木 BRIG・ERG・TEIN・EP82 2'16"5 2'20"2 4'36"7
5 5 平山/古賀 エナペタルATSBPF西日本自動車EF8 2'18"6 2'22"8 4'41"4
6 3 三好/市野 ASイワセ・フェアレディZ 2'20"4 2'23"3 4'43"7
7 1 吉井/鍋倉 O.K.U REPSOL ENKEI EP82 2'34"6 2'21"8 4'56"4
R 8 前田/山吉 NRSギャラリーサービス番長スカイライン R   R

SS1でゼッケン8の前田/山吉組スカイラインがギャラリーの目の前でコースアウトしリタイヤしました。せっかく関東から行ったのに~。。。

2日目
 朝5時半に目覚め、6時過ぎにスタート会場へ。7時スタート。さあ、今日が本番!今日も良い天気だ!

第2セクション
 第2セクションには、昨日レキした8.17kmと6.24kmの2本の林道を2回ずつ走行します。実質、ここがこのラリーの勝負所です。

SS3(ダート 8.17km フラット、後半上り)
 まだ十分に身体は起きていない感じ。それでもいきなりロングのハイスピード林道です。オフィシャルに合わせて、ナビが隣でカウントダウン・・『5、4、3、2、1、GO! 6R、ストレート100、5R、ストレート150・・』 長い直線・・簡単にスターレットターボは3速、そして4速へとスピードを乗せていきます。他の地区のラリーでは、たとえ4速に入ったとしてもほんの数秒ですが、今日は違います。『5L、ストレート400』 ついに4速も吹け切って未知の5速全開へ・・。ストレートと言っても、左右に曲がってないだけで、上下にうねっています。さらにダート路面です。微妙にステアリングを取られたり、片輪だけ跳ねたり・・
 トップスピードは150km/hr 近いでしょうか。『5R&4L・・』あっという間に次のコーナーが迫ってきます。こりゃブレーキングも難しいや!
 なんだかんだと新しい世界を垣間見ながらも快調に飛ばします。『4L、ストレート、橋、3R。枝道に入る~!』 枝道に入ると路面が一変します。若干荒れた路面、急な上り、狭い道。『6R、もうひとつ6R、5Rでゴール!最後までがんばれ~!』 フィニッシュ!
 今回のラリーで良かったのは、SSフィニッシュのタイムコントロールに掲示板があって、全車のタイムが掲示されていたことです。これはWRCなどで行われている方式ですが、誰が速いのか、今自分はどのくらいの位置にいるのか、などが把握できて便利です。このSSのここまでのベストはゼッケン1の吉井/鍋倉組で6'12"4。当面の敵である大庭/高橋組は6'18"8でした。『俺たち、何秒だった?』『ん?14秒7』 よしよし、大庭さんに負けなければ大丈夫だ。

SS4(ダート 6.24km 下り)
 最近、ダートのラリー自体が少ない上に、安全性を考えてか、下りが少ない!俺はダートの下りが得意なんだ~~~・・・・(ToT)
 でも、ここはダートの下り!しかも6kmもある!!!うれしい!
 スタート!『5L、ストレート50』 ん?5L?どう見てもこれは右コーナーだぞ!しかも直線は200mくらいあるし。『ノート違ってない?』『ごめ~ん、次のコーナーからだ~、5L、ストレート50』 おお、本当だ!『4L&4R、橋、5R&4L、6L、6R、ストレート150・・』下りになると、なぜかナビのペースノートの読み方も私の運転にピタッと合ってくる。調子良く、実に快調に、ノーミスで最後まで下りました。『橋、3.5R、5L、ストレート』『ほい、ゴールだ!』
 掲示板では、大庭/高橋組が5'06"5のベストタイム!他のクルーも軒並み5分10秒前後で走っている。むむっ。大庭選手、ここで来たか?俺は何秒かな?と思ってナビコンピューターのタイムを見ると・・ん?なんかぜんぜん違う数字があります。こんなとき、ふと不安に陥ります。『もしかして、俺、すっげえ遅かったのか?』そのとき、掲示板にタイムが書かれました。4'54"0。理解するのに一瞬の間がありました。『ねえ、俺、ぶっちぎり?』『きゃ~、すごいタイム!す・て・き!』

SS5(ダート 8.17km フラット、後半上り:SS3と同じ)
 本日2巡目の林道です。ここまでにすでに2位とは20秒近い差が付けています。そんなに無理な走りは必要ないでしょう。この2巡目の2本は少し抑えた走りを、それでも前に前に車を出す走りを心掛けました。スタート後、長いストレートをいくつかクリア。『5L、ストレート400』 一番長く、5速まで入るストレート。今度はさっきより長く5速で踏んでる気がします。全体的にスピードが上がっているのか、コーナー進入でリアの出方が多くなってきました。『進入が速すぎる!もっと抑えなければ!』そんな余裕を持った考え方もできる自分に驚きながら、最後の枝道へ。ここは逆にさっきよりも1速低いギアでしゃにむに前に出す運転をします。フィニッシュ! 『おお~っ!前分だよ!』『速え~』というオフィシャルの声。掲示板には大庭選手6'04"6、おっ、Zの三好選手が6'02"0でベスト!さすがにハイパワー車&マッドドッグ三好です。タイムコントロールシートに書かれた我々のタイムは、5'59"6。連続ベスト。またまた2位以下を離しました。『キャー、すてき!好きになりそう!』『君はもう僕の走りの虜さ、ハニー?』・・一度、車載カメラを積んで会話も録音しながら走ってみたいものです。

SS6(ダート 6.24km 下り:SS4と同じ)
 こうなってくると、大庭/高橋組や他のクルーに逆転される可能性は低くなってきましたが、自分のミスによるコースアウト、リタイヤが心配になってきました。でも、セーブした走り・・これが私は一番苦手です。変に遅く走ってしまったり、気合いが抜けて凡ミスで刺さったり・・やはりここは無理せず全開で行こう!2人の意見は一致しました。スタート!『ストレート、5R、ストレート200、5L、ストレート50・・』 おっ!さすが!もうペースノートは直ってる。今日は(今日も・・?)ドラナビのコンビネーションも抜群です。『ストレート、6R&6L、ストレート・・』 ブラインドコーナーで先がどうなってるか見えなくても、ナビに『6』と言われればアクセルを踏んだままコーナーに入ります・・。『4R&3.5L!、5R、ストレート・・』 さっきは2速に落としたコーナーも3速のまま失速せずに抜けれます。ただ、やはり全体的なスピードが速くなったのでしょう。各コーナーともリアがどんどん出始めました。それでも突然ペースを落とすわけにはいかないので、なんとかじゃじゃ馬を抑えながらフィニッシュラインまで導きます。ようやくフィニッシュ! こりゃ、タイムは落ちただろうな~。『ゼッケン7番!』ナビがオフィシャルに叫んでいます。掲示板では、ベストはやはり大庭/高橋組で4'51"0。おわ~!さっきの俺のタイム、破られてるよ!しかも三好/市野組、吉井/鍋倉組まで5分を切ってきた!追い上げられるかも・・『よし!ベスト!』ナビが騒いでいます。『え?何秒だったの?』『4'46"3。タイムアップしたよ』『本当?俺、タイム落ちたと思ったよ』
『あたしも~』『(2人で)ぎゃははははは・・・・』

第2セクション終了時点での成績

順位 No Dr.&Nv. SS1 SS2 SS3 SS4 SS5 SS6 total
1 7 上原/飯田 2'12"7 2'13"9 6'14"7 4'54"0 5'59"6 4'46"3 26'21"2
2 4 大庭/高橋 2'13"8 2'15"5 6'18"8 5'06"5 6'04"6 4'51"0 26'50"2
3 3 三好/市野 2'20"4 2'23"3 6'22"5 5'08"5 6'02"0 4'58"0 27'14"7
4 2 長谷川/鈴木 2'16"5 2'20"2 6'23"9 5'11"0 6'09"1 5'03"4 27'24"1
5 1 吉井/鍋倉 2'34"6 2'21"8 6'12"4 5'12"2 6'11"6 4'55"8 27'28"4
6 6 野島/野島 2'13"7 2'18"9 6'38"5 5'12"7 6'14"1 5'03"4 27'51"3
7 5 平山/古賀 2'18"6 2'22"8 6'43"3 5'14"5 6'11"8 5'01"2 27'52"2
R 8 前田/山吉 R           R

 サービスに戻ると、今回はサービス隊の一員として一緒に来ている、ナビの旦那である、飯田洋司選手が心配そうに待っています。きっと私のことだから、この勝負どころのセクションで、攻めに行ってると思ってんだろうな~・・。前回のリタイヤもあるし、ナビのことが心配なんだな~。まさに、夫婦の愛!と思ったら、各SSタイムはサービス地点にも掲示されていて、それによるとSS5のタイムが6'59"6となっていて、サービス員(他のチームのサービス員までもが・・)『やっぱり上原がなんかやらかした』と思ってたらしいのです。『違うよ。1台だけ前分で入ったからオフィシャルの間違えだよ』と言うと、ほっとした顔で喜んでくれました。『お前、良い奴だよな。だから嫁にこき使われるんだな~。かわいそうに・・』思わず口をついて出た言葉を聞いて、隣でナビが『ほんとにかわいそうね~』と一緒に同情していました。

第3セクション
 最終セクションです。第2セクションで使用した、8.17kmと6.24kmの2本の林道を1回ずつ走行後、昨日走ったギャラリーステージを2回走行してゴールです。

SS7(ダート 8.17km フラット、後半上り:SS3・5と同じ)
 もう勝手知ったる道です。無理はしません。でも全開です。快調に、本当に快調にスターレットターボは走ります。さすがに、みんなが選ぶマシンは乗りやすいなあ・・妙な感心をしながら、どんどん上ります。橋、右に曲がって枝道に入ります。フィニッシュ!おお!これでもか!のタイムアップ!5'51"2。またまたベストタイムでフィニッシュしちゃいました。もう後は何事もなければ優勝でしょう。ちょっと気分がウキウキしてきました。

SS6(ダート 6.24km 下り:SS4・6と同じ)
 さあ、ここを無事に下りきれば・・リタイヤさえしなければ!スタート!快調、快調!そう言えば、今日はナビもペースノートを1度もミスりません。リズムもばっちり!でもひえつきの優勝のときも、『今日はミスないね』って言ったとたんミスったもんな~。今日は黙っとこ!
 5kmほど走った頃でしょうか・・『5L、ストレート100、下りロング5L、ストレート・・』おい、ちょっと待て。下りだあ?道は上がってるぞ!『ごめん!上り、クレストぎみ5Lロング』一瞬のリズムの狂いでした。あっと言う間に5Lロングが近付いて来る。オーバースピード!リアが出ます。『ストレート50、4R、3L!』もうリズムがガタガタです。4Rでもリアが出て、なんとか修正しようとした矢先の3Lでした。3Lといえば、我々のペースノートではほぼ直角に近く曲がるコーナーを表します。リアが右に大きく流れました。右の道の外側は小さな川に向かって斜面になっています。右リアはゆっくり、スローモーションで道から外れて行きます。『がんばって~!』ナビが叫んでいます。お前、この状況でいったい何をがんばったら良いんだ?と、冷静に思いながら・・とりあえず2速に落としてアクセルを踏んでみました。スターレットは右後輪を斜面に落としながらも、フロントタイヤが前に進みます。さすがFF車。フロントの駆動輪はリアの反乱を制圧し、再び勝利へ走りはじめました。『よしよ~し!!』一番喜んだのはナビでした。『橋、3.5R、5L、ストレート』『よし、ゴールだ!』
『ひゃあ~、あたしもうだめだと思った~。こんなところでミスるなんて、謝っても済まされんな~と思ってた』『がはははは、俺も絶対落ちると思った』『でも上原さんならなんとかするだろ~ってのもあったけどね』『いや、なんとかせないかん!と思ったよ』『(2人で)わははははは・・』 SS終わってゴールしてきたクルーが2人とも大笑いしていたら・・さぞかしオフィシャルも恐かったでしょう。なんとこの大失敗SSでも、4'44"4とタイムアップしてベストタイムでした。

SS9(ダート 2.44km フラット、後半下り:SS1・2と同じ)
 さあ、あとはギャラリーの前を2回走れば、勝利の美酒が待っています。もう2位の大庭選手とはすでに40秒の差ができています。どんなにゆっくり走っても、完走すれば優勝間違いないでしょう。スタート地点。ギャラリーに放送で説明しています。『次はゼッケン7番、上原/飯田組。上原/飯田組はここまで、Cクラストップ。しかも2位以下を大きく引き離してぶっちぎりのトップです・・』こりゃあ無難な走りなんか見せられないじゃないか。やっぱり攻める!スタート!ギャラリーコーナーを3速でドリフト。ストレートを加速します。『4R、3.5R』
 リアが左に振られます。FRのような姿勢でコーナーを脱出。次のコーナーでもリアが・・いくつかコーナーを抜けた先・・『4L、ストレート』さっきの再現のようでした。右リアは今度こそ、間違いなく道の外に落ちました。しかし、そこは単に土を掘っただけの側溝。側溝の中に右リアを落としたまま、スターレットは加速します。まるで・・モノレールのように・・斜面をまたいで走行しています。直線途中でようやく4輪とも道の上に復帰。それでも各コーナーで大きくテールスライドしながら、なんとかフィニッシュ。『ぎゃはは・・これじゃあ全然完走ペースじゃねえ~』『大変元気の良い走りで・・よろしいんじゃないでしょうか!』げげっ!こいつ、半分呆れてる! なぜかこのギャラリーステージのSSゴールにだけは掲示板が無いので、オフィシャルに聞くことになります。『ベスト何秒?』『8秒7』今度こそ負けました。我々は2'09"7。1秒負けました。どうやらここのベストは前ゼッケンの野島夫妻のFXのようです。

SS10(ダート 2.44km フラット、後半下り:SS1・2・9と同じ)
 いよいよ最終SSです。先ほどの走りを反面教師として、今度はギャラリー前も静かに走りました。各コーナーともグリップ走行に徹します。下りに入る手前のコーナーも3速から2速に落として曲がりました。と・・前ゼッケンの野島(夫)選手が制止しようとしています。ん?停まらなきゃだめか?次のコーナーを減速して抜けてみると、FXが横転して道を塞いでいました。『停まって!まだナビが車内に閉じ込められてる!』うちのナビが叫びました。そう言えば、野島(妻)がまだ車内に取り残されているみたいです。スターレットを降り、FXに駆け付けながら、頭の中はドライバーから救命救急医に変化して行きます。『大丈夫?わかるかい?』『あ、大丈夫です』こちらの質問に対して、しっかりした声で返答が有りました。すなわち、脳は正常に働いているし、呼吸&循環機能も保たれている状態です。『車の外に出れそう?』『ドアが開かないんです』『自分で動ける?どこかいたい部分とか無い?』『あ、動けます。大丈夫です。』確かに両手両足とも動かせるようです。すなわち神経麻痺はなさそう。ヘルメットをかぶった状態での事故では頚椎損傷が一番恐いのです。ドライバー側のドアからようやく妻ナビが出て来ました。どうやら怪我はなさそうです。後続のBクラスの岡田/鈴木組と山口/船木組も停まりました。みんなでFXを引っくり返して道に戻しました。エンジンもかかるようです。そのままゴールまで下って行き、オフィシャルに報告。この最終SSはキャンセルとなり、ここで我々の優勝が確定しました。
 余談ですが、このときスタートに並んで止められていたクルー内では、『ゼッケン7が転倒したらしい』という噂がまことしやかに横行。『やっぱり上原、バカだな~』『絶対なんかやると思ったんだよ~』『ぎゃははははははは・・・・』と言っていたらしいです。みんな失礼だな!

最終結果
優勝:上原/飯田組  39'06"5     2位:大庭/高橋組  39'52"4     3位:三好/市野組  40'24"9     4位:吉井/鍋倉組  40'37"0     5位:長谷川/鈴木組  40'42"1

 なお、この正式な結果を、http://www.jmrc-hokkaido.org/2003/event/rl.html(JMRC北海道のHP)でダウンロードできます(pdfファイル)
 また、http://0155.jp/rally/(“十勝への招待状”内ラリー北海道のページ)で動画もご覧いただけます。

 当初の予定では、群馬、北海道、最終戦(大分)と3連勝してチャンピオンに近付く予定だったのですが、いきなり群馬で夢は破れました。それでも予定どおり北海道は勝ち・・さあ、次は最終戦大分だ!連勝!連勝!応援してくださいね!

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 今回、初めてFFにナプロのミッションオイルを使用しました。基本的にFF車のミッションオイルはミッションだけでなく、LSDの効き具合に大きく影響します。今回、何度も落ちかけてもアクセルオンで道路上に復帰できたのは、LSDの効きが非常に良かった事もあったと思います。ナプロのミッションオイルって・・結構良いかも。FF車にLSD入れてる人!一度お試しあれ。僕は最終戦もこれで行きます。

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