ナビゲーター参戦レポート 2005 RTC RALLY in SHINTOKU

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2005全日本ラリー選手権2輪駆動部門参戦レポート

2005全日本選手権ラリー
ナビゲーター参戦レポート 第4戦 2005 RTC RALLY in SHINTOKU

2005年8月6日(土)~7日(日)

やってきました北海道!
私たちの大好きな、オールダートのラリーです。
一昨年は優勝、去年はリタイヤ&上原さん肋骨損傷、とくれば、今年は優勝・・・のはず!(根拠なし)
去年、痛い思いをしていない私にとっては、北海道のラリーは良い思い出のみがある、楽しい楽しいラリーです。
木曜日の早朝のフェリーで北海道に向かいますが、上原さんの体調は最悪の模様。
久しぶりに会った最初の印象は、「う、上原さん、やつれてる・・・」。
こんなんで真夏のラリーを乗り切れるのか。かなり心配です。
と言いつつも、夕陽をバックに写真を撮ったり。


題:「タトゥイーンに沈む夕陽を見つめる俺」

さて、ラリー当日。まずは早朝からレッキです。睡眠時間は4時間ほどしかとれませんでした。
上原さんはかなり調子悪そう。スタート前からこの状態では、初の『体調不良によるリタイヤ』も覚悟しなくてはいけないかもしれません。
今回使う林道は3本。加えて陸別のオフロードサーキットを1本。オフロードサーキットと言えど、林道コースのようになっていて、アップダウンやコーナーもかなりきついです。噂によると、「無難に走れば離されるし、詰めようと思うとかなり危険」らしいです。個人的には、ところどころに簡易舗装が入ってくる8kmの林道SSが一番危ないような気がしますが、他にもやたらスピードの乗るストレートが多い林道もあるし、どこででもいけそう(落ちそう)な感じです。
でもまあ、ダートは上原さんは得意だし、なんとなくですが、いい結果になりそうな予感がします。
さあ、がんばるぞー!


スタート前のインテと上原さん

8月6日(土)【Leg1】
SS1:(4.73km)

いつもなら盛り上がるスタート前も、上原さんはぐったりして辛そうです。
「ドライバー交代してくれえ・・・」「私が走ったら、1コーナー目で落ちると思うよ・・・」
などと話しながら、いよいよスタート!
しかし、リアが安定せずに抑えつけるのに一苦労。ラリー会場に移動するときにも、かなりリアが不安定で怖かったのですが、これは・・・タイヤ交換して足周り調整しても今ひとつ安定してません。
ストレートでもぶんぶん車が回るので、顔をあげるタイミングによっては緩いコーナーを見逃したり、コーナーの見え方が違ったり・・・・そして、SS半ばでロスト。「ごめん、ロスト!」「うい、3R・・ロング4L・・5R・・」
目標物となるコーナーでようやく復帰。「はい!3R、2.5R、30、3L・・・OK、復帰!」
いきなりロストとは・・・かなりへこみます。

今回のラリーでは、SSゴール地点にタイムが掲示されているので、現時点の状況がわかりやすくなっています。
うちのゼッケンまでのトップは、もう1人の上原利宏選手で3分06秒4。うちは3分11秒1。・・・キロ1秒離されたか。
この後、プール地点で前後のタイムを聞いてみると、なんと06秒0と、06秒8がいるではありませんか。
現時点で4位。・・でも、キロ1ならきっと追いつける!

SS2:(4.73km・・SS1と同じ林道)
一度サービスに戻り、先ほどと同じ林道を走ります。
今度はロストなく読めた・・・が、なんだ?ストレートで全然伸びない!
踏んでるのに、全然ふけてない・・・どこかおかしい!?
ゴールまでたどり着いたけれど、タイムは12秒7。さっきより落ちてる。
「なんかおかしい・・全然ふけないし、オイルくさい」なにーー!
次のサービスまでは、あと1本のSSを走らなくてはいけません。なんとかもう1本、もちますように・・!
現時点で6位。トップとは14秒差、5位とは4秒差。マシンさえ無事ならまだまだいける!

SS3:(2.34km)
オフロードサーキットのSSです。距離が短いので、マシントラブルの不安がある私たちには助かります。
スタート前に、何度かアクセルをふかしてみましたが、特に問題はない様子・・・?
とにかく、ここを無事に走って、サービスまで行こう!

アップダウンがきつく、クレストの先のコーナーが全く見えないこともしばしば。こんなところでノート読み違えたら大変なことになる・・・!集中して読み上げますが、それにしても、こんなところをノートを信じて走れるドライバーって本当に・・・絶対にどこかおかしい(笑)
マシントラブルも発生せず、無事にゴール!
タイムは・・・「あれ、ベスト?」「はい、ベスト!」
全車通過後に最新情報で確認してみると、おお、うちがベストだ!!とはいえ、距離の短いSSなので、大きな差はつけられませんでした。しかしここで、5位に浮上。4位の森選手には2秒差、2位と3位には3秒差です。
よし、いけるいける!!

サービスでマシンを見てもらいましたが、ラジエーターのキャップが緩んでいたのか、水がかなり減っているとのこと。それでさっきはオーバーヒートしてたのか?でも水温はそんなに上がってなかったみたいだし・・・
疑問を残したまま、サービスを出発します。

SS4:(4.73km・・SS1、SS2と同じ)
さて、本日最後のSSです。
最初はぼろぼろだった上原さんも、だんだん元気になってきました。おそらくさっきのSSベストが効いていると思われます(笑)
「やっぱさあ、SS3ベストときたらさ、SS4もベスト取りに行くってのがドライバーじゃねえ?」
「そうよそうよ!やっぱそうよね!いけると思うな、私!」
こんな会話をしていたら、今回サービスをお願いしていた関根さんが一言。
「いや、頼みますから今日は全部完走してください。いくなら明日の8kmでいきましょうよ(笑)」
いくなら明日の8kmで、って・・・・この場合の「いく」が、『気合を入れていく』ではなく、『落ちる』に聞こえてしまうのは気のせいでしょうか(笑)?

どちらにしても、結局は自分のリズムで走るのが一番いい!ということで、あえて「どういうつもりで走るか」は考えず、自分達のベストの走りをしよう、ということになりました。(私たちの場合、『=攻める』ではありますが・・)
この林道を走るのはもう3回目になるので、轍も深くなり、道は大分荒れてきています。こうなるとパワーのあるDC5が有利です。
何度も不安定な動きをしながらも、インテはなんとか道の上にいます。「(道に)戻して、戻して!」と何度も叫びながら、
指はノートの上で次のコーナーを確認し、ひたすら前を見ます。インテは何度も路肩の雑草の上を走りながらも、ちゃんと道に戻ってきてくれます。(というか、上原さんがんばれ(笑))
「・・・30、4Rでゴール!!」 やったー!1日目完走だーー!

タイムは3分12秒2。トップの上原選手と森選手は、同秒の12秒0。惜しい!!
ここで4位に浮上。2位と3位には2秒差です。トップの上原選手とは13秒差ですが、勝負はおそらく、明日の8kmのロングSSになるでしょう。15秒差以内にいれば、まだまだひっくり返すことはできます。
久しぶりに、1日目を全て完走し、パルクフェルメにマシンを入れて、宿に戻ります。

「久しぶりだね、競技続行のまま眠るのって!」
「おお、そうだな!」
「こんなに幸せなのね・・・・おやすみ~!」
「おう、明日はがんばるぞ!」
ああ、なんて幸せなのでしょう。まだ私たちは競技続行中なのです!
おやすみなさ~い!

8月7日(日)【Leg2】
さて、2日目です!勝負は今日にかかっています。
最初はボロボロだった上原さんも、すっかり元気になった模様。昨日もばくばく焼肉食べてたし(笑)
さあて、ひっくり返しにいきますよ~~~!!
気分もノリノリ、勝つ気満々!!天気も良いし、寝不足ながらも気分は良好!
朝もやが飛ばされてゆく北海道の景色をパチリ。


うう~ん、北海道はでっかいどう~♪

SS5:(3.94km)
ここのSSは、スタート地点からぐるっと回り込んで、SSスタートの目の前を走るストレートに出てきます。
そこは一番スピードが乗るところで、私たちはスタートを待ちながら、前ゼッケンの走りを見上げることができます。
「おお~、踏んどるな~」「本当ねー」
ええ、まさか、そのストレートで何が起きるかなんて、何も予想していませんでした・・・。

「3・・2・・・1・・スタート!!・・・3L、30、4R、50・・」
この林道は1本目だけあって、かなり砂利が浮いています。しかも私たちは4番手なので、リグループにより、出走順もBクラス4番目と早まったので、まだ路面の浮き砂利は掃けていない状態。走りにくい・・・!
「ストレート60、6R、80・・・!」SSスタート地点から見えるストレート。軽くクレストになった6Rを抜け、長いストレートに入ります。その途端、リアが大きく流れて挙動が不安定に・・!でもいつも、この状態から立て直してきた。今度だって、きっと立て直せるはず!「がんばってっ!ストレートエンドは3L!ストレートエンドは3L、30・・!」左手はノートの次のコーナーを押さえて、目はひたすらストレートエンドを見る。インテは大きく右に振れたかと思うと、左に振れ、そしてまた大きく右へ・・・右2輪はもう路肩の雑草の上を走っています。車体が右に軽く傾いているのが分かる。でも、戻る、戻るはず、戻せるはず!!でも、重いDC5は一度振れ始めるとなかなか戻ってはくれません。
「がんばってっ!ストレートエンドは3L!」もう一度叫んだところで、右の路肩の感触がなくなりました。緩やかに下っているように見えて、どうやら途中からは急勾配になっていた様子。インテは大きく右に傾き、次の瞬間、横転し始めた・・!
ガン!ガン!という強い衝撃が体に響く。どうやら衝撃で、目を閉じてしまったらしい。体にかかる衝撃で、2回転半したことが分かりました。けれどなかなか勢いは止まらない。こりゃ結構いくな・・・と思った瞬間、フワッと宙に浮く感覚が!
ここで、「自分が目を閉じている」ことに気づきました。
「一体今、どうなってるんだ?」そう思って目を開くと、屋根を下にしたまま、空中を落下していくのが分かりました。自分の中では全てがスローモーションなのに、目の前の景色は、上下逆のまま、すごい勢いで過ぎてゆきます。
やばい、屋根から着地する!と思った次の瞬間、ものすごい衝撃と共に、体が逆さまに叩きつけられ、次に大きく前に振られ、シートベルトが緩んだために(衝撃を吸収するために、少し緩むようになっているのです)体はシートから浮き、膝が前方のナビ道具入れ(アルミ製)に激突し、さらにそのまま左半身がドア側に叩きつけられます。
同時に目の前には、フロントガラスにびっしりひびが入り、内側に大きくめりこんできたのが見えました。
体が大きく前に振られ、目の前にフロントガラスが迫ったとき、咄嗟に左手を前に出していることに気づきました。
『落ちるとき、転がるときに、手を出しては絶対にいけない』これは鉄則として、何人もの先輩ラリーストから教えられてきたことなのに、目の前にフロントガラスが迫ってきたためか、本能的に手が前に出てしまったようです。
「やばい!!手を出しちゃいけないのに!」
インテはさらに、もう反転しようとしています。ガラスや土や石が、がらがらと音を立てて落ちてくるのが聞こえます。
咄嗟に前につこうとしていた左手をひっくり返して、手のひらでヘルメットの目の部分を覆って押さえました。次の瞬間には、ガラスや土や石が大量に流れこんできて、隣からは、上原さんが「うわーーっ!」と叫ぶ声が聞こえます。
手の甲にガラスや土や石が大量にばしばしと当たり、さらに隙間からも色んなものが入ってきて、顔に当たります。ドーン!という最後の着地の衝撃で、シートに体が叩きつけられ・・・・静寂。
上原さんの無事を確かめたいのに、声がでない。ゆっくり目を開くと、膝が伸びきっている。強い痛みがあるような気がするけど、よく分からない。膝に力がまったく入らない。
口を開くと、「うう・・ああ・・・」といううめき声しか出ない。上原さんの方からも、「うあああーっ」という苦しそうなうめき声。ゆっくり首をひねると、なんとまた肋骨あたりを押さえている!!
「だ・・大丈夫か?」
「分からん・・膝の感覚がない・・・これで動けば大丈夫と思うけど」
ゆっくり膝を曲げてみる。曲がらない。目をつぶって深く深呼吸してみる。もう一度ゆっくり曲げてみる。
おお・・・曲がった!足をついて、力を入れてみる。い・・いたたたたたた!でも、歩けないことはなさそう。
「上原さんは?肋骨?動ける?」「う・・動ける。降りるぞ・・」
ナビ側のドアは開かないので、ドライバー側から一緒に降りる。
そうだ、リタイヤ届・・・と思うが、ロードブックがどこにも見当たらない。
頭上のストレートからは、後ろゼッケンが通過していく音が聞こえる。まさか落ちてはこないと思うけど、とにかく早くここから上がらないと!!
上原さんの後を追って上がるが、上から見たのと同様、見た目は緩やかな斜面なのに、実際は背の高い草が生えているだけで、斜面はかなり急。さらにあちこちに木が倒れていて、足を踏み込むと思ったより深かったりして、足場はかなり悪い。こんなのがフロントガラスを突き破ってこなくて良かったなあ・・などと考えて登っていたら、踏ん張った途端に膝の力が抜け、踏み外してまた転げ落ちた!「ぎゃああああ!」メットを被ったままで良かった。生身の3回転落下(汗)
私たちが道に上がるまでに2台が通過し、ようやく3台後ろにOKサインを出すことができた。
5台にOKサインを出し終わり、やっとメットを外す。
「そうだ、リタイヤ届出さないかんけど、ロードブックがどこにも見つからんやったんよ」
「おお・・・なんか車のはるか外に放りだされとったぞ」
「あらまあ!どっから飛んでったとやろね・・・」
「もうどこにもガラス残ってなかったからな(笑)」

全車通過後、オフィシャルの方にSSスタート地点まで連れていってもらうことになり、その前にインテから荷物を取り出すことに。斜面を下ると、途中に見たことのあるミラーやらスポイラーやら色んなものが散乱していて、それらを拾いながらインテへ向かう。
改めて見ると、インテはすごい状態だった。
ロードブックは車の外に放りだされ、ぬかるみに浸かっており、救出不可能。ペースノートはフロントガラスとダッシュボードの間に挟まって、抜き取り不可能。車検証などの必要書類は、ナビ道具入れを私が膝で叩き潰したため、これも抜き取り不可能(アルミの道具入れが、きれいに膝の形に潰れておりました)。
でも、落ちたときの状況から考えると、この程度で済んでよかったのかも・・・。


落ちる手前の6R。

このストレートで挙動が乱れ、
画像奥のあたりで落ちました。

落ちたインテです。
斜面半ばあたりから撮影。

インテは、前後左右、そして屋根の5面全てを使って回転&着地したため、全体的に短くなっておりました・・。
しっかりしたロールバーで本当に良かった!!

SSスタートに戻り、上原さんに膝を診てもらう。どうやら関節は無事らしく、強い打撲であるらしい。ほっ。
上原さんは顔と首にガラスの破片が刺さり、あちこちから血がにじんでいる。そして肋骨が痛いらしい・・。
私のレーシングスーツにも、あちこち血がついている。ガラスの刺さった手であちこち触ったからか??
(上原さんと某ドライバーW氏は、『〇理だ(嬉)!』と言っておりましたが)
ケガの程度は2人とも、ムチウチと全身各所に強度の打撲。アザの残りやすい私は、肘や膝が既にものすごい色になってきています。上原さんは、それプラス2年連続肋骨損傷・・・。
その後、オフィシャルの方たちが「インカービデオは撮れていますか?」と期待に満ちた顔で聞いてきたので、早速試写しましたが、残念ながらストレート上で2度ほど衝撃があった際に、もう停止していたようです。

せっかく2日目まで生き残ったのに・・4位でタイム的にもいいところにつけていたのに・・今回は絶対完走&入賞できると思っていたのに!悔しくてたまりません。
応援して頂いた皆さん、支援して頂いた皆さん、サービスして頂いた皆さん、本当に申し訳ありません。
買い手のつかないインテは、無事、保険屋さんに買って頂くことになりそうです。

追記・・・夜、ホテルの部屋でジーンズを脱いで見ると、左足の色と形が変わり果てておりました。
さらに、レーシングスーツの上からの衝撃で、一部出血もしておりました。(気づかなかったのがすごい)
ダンナと友人に画像を送ってみると、「死体のような足だ・・」と返事が返ってきました・・・。
さらに、夜中にはムチウチの痛みで悪夢を見て目を覚まし、翌朝はベッドから起きられませんでした。
今度からは、もっとナビシートを後ろにして走ろうと心に誓いました(笑)

DC5はもう修復不可能なので、このラリーがDC5で走る最後の、2駆部門の最後のラリーとなりました。
こんな形で終わってしまうなんて、すごく悔しくて悲しくて残念です。
この悲しみを・・・次のマシンでぶつけます!(懲りてない)

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