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全日本ラリー選手権参戦レポート

全日本ラリー選手権参戦レポート2009

全日本ラリー選手権第7戦 新城ラリー2009

ドライバー参戦レポート

プロローグ

ついにこの日がやってきました。2年ぶりの沈黙を破り、上原/飯田組(通称イケイケ's)復活!その復活の舞台となったのは・・全日本ラリー選手権第7戦、「新城ラリー2009」です。この新城ラリーは、小泉首相の時に、地域再生プロジェクトの一環として始まったラリーで、一昨年から全日本に格上げになり、今や全日本には無くてはならないラリーになりました。私は初参加ですが、ナビ姫は一昨年は中部の「ゾンビ」(山口清司:昨年度JN2クラスチャンピオン)、昨年は関東の「武男」(加納武彦:ALEXインテグラ)の横に乗り、密かに今回の復活準備を進めておりました。

さて、行きの東名高速・・・深夜割引を狙って金曜0時に埼玉を出発。上のまぶたが下のまぶたにすり寄って来た頃、静岡県の牧ノ原SAに入って仮眠しました。バケットシートでの仮眠は結構辛かった・・。そして朝、人の増えて来たSAを出発、一つ先の小笠PAに入って、ナビ姫はお化粧開始。女心は微妙ですな・・。そこで次のような会話が・・

私:ところでさあ、新城ってどこで下りるの?
ナビ姫:さあ?私2回も出てるけど忘れた。受理書とかに書いてるんじゃない?
私:あらら・・受理書、家に置き忘れて来た。どしようか?このままずっと行ったら、名古屋、京都、大阪行くよ。
ナビ姫:あら素敵。武男にメールしてみる

まあ、何年経ってもこの2人、懲りてませんね。で、三ヶ日ICで下りれば良いことがわかったのですが、その先が全くわかりません。浜名湖SAで朝ご飯を食べながら、今度は私がゾンビに電話・・・豊川IC先のセブンイレブンで合流して連れて行ってくれることとなりました。せっかく先導してくれているゾンビ号(通称ZomR-2)、淡いパープルの車体にオレンジ色の柄がたくさんちりばめられているのですが、クリオの車内では私とナビ姫は、「死人(ゾンビ)にオレンジは似合わない」とか「最近血色がいい・・」などと恩知らずな発言を繰り返していました。(ゾンちゃん、ごめん!)

さて、無事スタート地点、新城市桜渕公園に到着しました。2年ぶりだというのに、懐かしい人たちが笑顔で迎えてくれました。ああ、ラリー界に帰ってきて良かった・・

レッキ

昼から午後はレッキです。本番のタイムトライアル区間を下見します。1ヶ所の林道を2回ずつ走るので、まずゆっくり走行してペースノート作成、そしてそこそこのスピードでペースノートの不備を訂正していきます。今回のラリー設定は、4本の林道を2回ずつと1本のギャラリーステージ林道を4回走行します。勝負どころは初日の8kmの林道2回、11kmの林道2回になると思われます。

あ、ここまで話を引っ張ってきて、ニューマシンについて全然触れていないことに気づきました。ニューマシンは、もうご存知のとおり、ルノークリオ(日本ではクリオという銘々はホンダがディーラを持っていたので使えなかったらしく、世界中で日本だけルーテシアと呼んでいます)・・フランス車です。ルノーのCEO(一番偉い人)は確かカルロスゴーンさんで、日産とは提携会社です。日本はそんな重要な国のはずなのに、2000ccのスポーツモデルは左ハンドル車のみです。イギリスへの輸出車は右ハンドルなのに・・だから敢えて私は、クリオという名前で全日本にエントリーしました。
何故ルノー??よく聞かれますが・・・・そんなに深い意味はないんですよ。ただ、いろんな選択肢があるのに、「ラリーは三菱」「ラリーはスバル」だけじゃつまんないじゃないですか。いろんな車が走って競う・・それを見て楽しむ・・WRCが面白いのはいろんな国のいろんな車が走るからだと思うんです。だから、ファンに楽しんでもらえる一助になれば・・と思って選びました。もちろん、目立つしね!
この車、ヨーロッパのラリーではスタンダードな選択なんですよ。だからパーツも結構あります。ネットでヨーロッパから購入するんですが、円高のおかげで結構安く作成できました。なんといっても中古車両価格が15万円ですから!
戦闘力はまだ未知です。エンジンパワーでは日本車、特にホンダには敵わないようです。しかし武器は軽量さとしなやかさです。車重はノーマルで1035kg、競技車としての公認車重は978kgと1tを切っています。同じJN3クラスでの国産車は軒並み1100kg以上ですから有利です。ま、エキシージっていう超軽量車もいますが・・

レッキの夜

レッキが終了してホテルに入ったのは午後8時。すでに新城の街は眠りに就こうとしています。「腹減った・・」ちょうど中部勢が夕飯を食べに行こうとしているのを見つけました。セリカの森・藤綱ベテランコンビ、レビンの高橋・蓑作JN2シリーズリーダーコンビ、ゾンビ・島津ZomR-2コンビに引っ付いて行きました。そこはうどん屋さん。毎年、中部勢はお店を開けてもらって食べに行ってるそうです。うどんやさんなのに天丼食べました。おいしかった・・・

ホテルで大浴場に入り、ナビ姫の部屋でビールで酒盛り・・(いつものように私は350ml、1本で酔っ払ったため、姫に追い出されました・・)あとは熟睡。記憶がございません・・・zzzzzz

ラリー初日

土曜日、快晴。我々の再出発を祝福しているようです。7時にサービス会場へ。そこには埼玉から夜通し走って駆けつけてくれた、シャフトの社長:大桃千明氏と、実の息子で現役ラリースト:大桃大意くんが早々と作業してくれていました。8時、公式車検。大桃親子が行ってくれました。帰って来た社長が一言・・「いやあ、この1台のためにちゃんとFIAのホモロゲ持ってたよ!きちんと細かく造って来て良かった~」さすが全日本選手権主催クラブ!厳しいですな~・・・・

隣の広場では、世界の新井、モンスター田嶋、篠塚健次郎、パリダカの増岡といった選手が観客の前でデモランを行ってました。一刻一刻とスタート時刻が迫ってきます。いよいよゼッケン1の奴田原選手がスタートラインに並ぶと、なんとスタートフラッグは哀川翔さんが!一昨年から全日本選手権に出場、昨年はラリージャパンを完走、今年は奴田原選手をナビに海外のラリーにも出場した俳優さんですね。でも残念ながら我々ゼッケン24のスタートの頃には居なくなっていました。お忙しいでしょうからね・・・
でもスタートゲート周辺には鈴なりのギャラリー・・・できるだけ多くの人とラッキータッチしながらスタート。この人たち全員が自分たちの応援に来てくれたファンに違いない!ああ、幸せ・・

ラリー

SS1 ほうらい線(舗装4.7km):ギャラリーステージ
さあ、久しぶりのSSです。しかもギャラステ。スタート後、しばらくきついコーナーがなく、加速しながらギャラリーコーナーに入っていきます。ギャラリーコーナーは、3R+1.5Rというきつい複合コーナー。しかも1.5Rというきつい方はJN4クラスがイン側の土をかき出して行ってる為、舗装の上に土が出てスリッピー!ここは私もダートに落として曲がりましたが・・・脱出の加速が・・上りの加速が遅い・・ひえ~っ、思ったよりパワーがありません。なんといっても上が6000回転以上の吹き抜けが遅い!
ようやく頂上から下りへ。下りは軽さが効いて、まあまあの速さでコーナーを抜けれます。ところが、事前に心配していたことが的中!クリオは後ろのブレーキディスクが、ソリッドタイプの薄~いやつです。そこに小さ~いキャリパーが付いていて、ブレーキパッドのBRIGで有名なブロンコバスターの社長も自信を持ってダメ出しするようなブレーキなんです。下りも1kmを超えると、次第に制動距離が伸びて来ました。
ゴール付近ではかなり苦しい走りになっていました。このエンジンの回らなさとブレーキは今後の課題です。タイムはベストの村瀬シビックから13秒も遅れた3分48秒でした。
SS2 のんほい(舗装3.7km)
ここは昔はナントカスカイラインという有料道路だった道。今は県道です。当然、広い2車線道路で、一番長いストレートでは180km/h出ると言われてます。でも結構上りばっかり・・明らかにここはパワー勝負な道です。スタート後、少し行くと、長く右に回って、ループ状に上っていく区間が出てきます。パワーのあるマシンは長~いドリフトで抜けていくそうですが・・・クリオは3速でコーナーに進入しました。アクセルを踏んで徐々に加速しながら抜けるはずが、徐々にアンダーが出て、それを消すために左足でブレーキを踏んだらググッとスピードが低下・・2速にシフトダウン、すでに6000回転・・ろくろく加速せず消化不良のまま直線へ。その先も似たような状態が続き、まさに“我慢のドライビング”でした。
ゴールしてみれば、タイムはJN3最下位の◎分◇秒・・・はあ~っ・・・
SS3 愛郷本線(舗装8.3km)
初日の勝負どころの林道です。ここは道幅がやや狭く、アップダウンは少なく、ツイスティなコーナーが連続し、直線はあまりないというSS2とは正反対の林道です。ここでがんばらなきゃ、クリオが勝負できる舞台がなくなります。がんばりました! スタートからほぼ8割が2速全開。ところどころ長めの直線だけ3速。クリオの2速でのコーナーリングは非常にスムーズで、進入の左足ブレーキングでクッと頭がインに向き、リアがふわっと軽くなります。ここで左足ブレーキを残したまま右足はアクセルオン。今度は車体全体が沈み込むような姿勢で加速しつつ、弱アンダーでアウトいっぱいに膨らみながら抜けていきます。ドライビングしてて、「こりゃ速いかも・・」と期待しました。後半のやや長い直線、3速にシフトアップ。グレーチング手前で2速にダウン、左ブレーキ、右アクセル、加速・・・加速?あれ?エンジンが止まりそう・・・止まった。ボンネットから黒い煙が・・・走れ~!アクセルオン!そのときです!ボワッ!ボンネットの前から炎が上がりました!!!「やばい!左に寄せて止めるよ。後続車止めるから消火器出して!」消火器をナビ姫が出して、後続車への合図係りを交代。ボンネットを開けてみると、ボンネットの裏の断熱材、さらにはエンジン前部の電気配線カバー、下のほうにも炎が見えます。ピンを抜き、レバーを握ると、消化剤が噴霧されました。ブシュ~、ショワショワ・・・・すぐに炎は消えました。何が起きたのか理解できませんでした。が、とりあえずサービス隊に連絡しなきゃ。

私:あ、上原です。SS3の途中でエンジンルームから火が出ましてリタイヤしました。
大桃:えっ?・・・・・(長い沈黙)・・・・
私:走ってたら突然パワーがなくなって、エンジン止まって、前から火が出て・・・原因不明ですが・・
大桃:わかりました。積載車の手配をします。

その後、ボンネットの中をしげしげ見ていたら、いました!犯人が!燃料パイプがエンジンに入る部分が外れて黒こげ・・セルを回すとガソリンが噴出します。再び大桃さんに電話・・

私:大桃さん、オルタネータの上に燃料パイプがエンジンに入る部分があるじゃないですか。あれが外れて、漏れたガソリンに引火したみたいです。
大桃:ああ、あそこかあ・・・わかった、今大意が迎えに行ってるから・・
私の電話の説明だけで、あそこかあ・・ってピンと来る大桃さんに驚きとともに敬服しました。きっとすでにクリオの配管から何からすべての構造が頭の中に入ってるんでしょうね・・・

そんなわけで、クリオのデビュー戦は、エンジンルーム火災リタイヤという結果に終わってしまいました。それにしても、SS1、SS2の結果しか残らないと、クリオは単なるもの珍しい、話題性のみのマシンと思われてしまいます。SS3は結構速かったのに・・・残念。

エピローグ

サービス会場に戻ると、以前よくあったように、「やるね~、燃やしたんだって?」「さすが!想像もしなかったリタイヤ原因だ!」「帰って来た早々に派手なことやるね~」と祝福の言葉の数々・・でもこれがまた落ち込みかけた気持ちを押し戻してくれるんです。(Mか?)
ゾンビに「SS3は俺速かったんだぜ!きっとクラスベストタイムだよ」と自慢したら、「上原さん、ここはリザルトに区間タイムも出るから、後で見て泣かないで下さいね」と逆襲されました。実は走り始める前に、負けたほうが来年のライセンスネームに変なミドルネームを入れようと賭けていたのです。私はフレンチな感じで、《上原・シャルマン・淳》で、ゾンビは南米黄泉の国版で《山口・ゾントニオ・清司》、ついでに武男が《加納・カトリーヌ・武彦》。結果、私と武男はリタイヤしたので、シャルマンとカトリーヌは実現か???ゾンビは見事にZomR-2を4位入賞に導きました。ほっほ~、そんなにゾントニオ嫌かね??

正式結果が、新城ラリーHPに掲載されています。ご覧ください。クリオのSS3区間タイムは、第1区間:クラス3位、第2区間クラス4位、第3区間で消えていました。第1区間、第2区間のタイムはZomR-2より2秒速いタイムでした。しかもあとわずか300mでSS3ゴールだったんですけどね・・。ラリー翌日、電話をかけてゾンビを慰めてあげました。途中まで俺に負けてたから来年はゾントニオね!って言ったけど、鼻で笑われました。ゾンビの分際で人間様を鼻で笑うとは!でも去年の全日本JN2クラスチャンピオンですからね・・・次は11月の最終戦、佐賀吉野ヶ里ラリーに出場予定です。ZomR-2じゃなくて、クリオをぜひ応援してくださいな。

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