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試乗記

【試乗記】三菱「デリカD:5」&ホンダ「フィット シャトル ハイブリッド」

ご存知のように、自動車というのはモデルチェンジを繰り返す。日本の場合フルモデルチェンジは4~6年程度の間隔でおこなわれるのが通例だが、バブル崩壊以降は多少その間隔も延びてきている傾向にある。フェイスリフトと呼ばれる小改良やマイナーチェンジはもっと短い間隔で実施されるのはご存知の通りだ。最新モデルに飛びつくのは消費者にありがちな心理だが、クルマのような耐久消費財の場合、そのモデル寿命の最終期というのは、じつはもっともそのモデルが熟成された時期でもあるのだ。そこで、今回は登場以来6年を経た三菱自動車の「デリカD:5」と、この秋にマイナーチェンジを控えているホンダの「フィット シャトル ハイブリッド」に試乗してみた。その熟成ぶりは…

三菱・デリカD:5

■クリーンディーゼルついて

三菱・デリカD:5のデビューは2007年1月である。当初は2400ccガソリンエンジン仕様のみの設定だったが、今年(2013年)1月、6年目を迎えるモデルに2000ccのクリーンディーゼルエンジン搭載モデルを追加設定した。4WDミニバンでは2000年以降初のディーゼルエンジン仕様である。

三菱自動車は、1982年のパジェロの登場当初から、ディーゼルエンジン搭載のオフロード4WDモデルを販売し続けてきたが、石原東京都知事のペットボトル・パフォーマンスに端を発した東京都の「ディーゼル車NO作戦」(1999年)、および翌年に制定された、ディーゼル車の使用を規制し、利用のあり方を改めるよう働きかける「環境確保条例」のによって、三菱自動車のカタログからディーゼルエンジンが消えてしまったのだ。

東京都は後日、あのパフォーマンスはあくまでも黒煙を吐き出し続ける旧式のディーゼルに警鐘を鳴らすものであり、ディーゼル自体が駄目と言ったのではなく、「汚いディーゼルが駄目」と言いたかったのだとしたが、ディーゼル車への悪しきイメージは払拭されず、残念ながら永らく日本の乗用車のカタログからディーゼルエンジンは消えることになってしまった。

石原都知事のパフォーマンス時点で、すでに内外の自動車メーカーは「コモンレール」と呼ばれる高圧燃料噴射技術を導入しており、安定した燃焼状態を保つことによりかなりの排ガス浄化が達成されていったことは、わが国ではあまり知られていない。ただ、ガソリンエンジン車の排ガスに含まれるNOx=窒素酸化物、HC=炭化水素、CO=一酸化炭素を同時に浄化できる三元触媒は、ディーゼルエンジンでは排ガス中に含まれる酸素の量が多いために使用できないという事実もあり、東京都の判断が正しかったか否かは議論の分かれるところである。

ヨーロッパでは着々とディーゼルエンジンの開発が進められており、よく知られるフランスのルマン24時間レースでは、2006年以降アウディのディーゼルエンジンが勝ち続けている。いまやディーゼルエンジンは「遅い・汚い・うるさい」という既存のイメージを脱却し、速いだけでなく、新たな環境対応のトレンドにもなっているのだ。

■三菱・デリカD:5

さて、その歴史ある三菱のディーゼルエンジンを搭載した「デリカD:5」だが、真四角な箱であるミニバンにありがちなボディ剛性の低さは微塵も感じられない。リブボーンフレームと呼ばれる骨格標本の肋骨のような4本の環状フレームがボディを支え、床部分にはクロスメンバーが配されているため、ボディ自体の剛性は驚くほど高い。高速走行でも、悪路走行でもボディ自体はまったく変形せず、剛性感を保ったままである。

さらに、驚いたのは風切り音の低さだ。前投影面積の大きなミニバンにありがちな、戸板を持って走っているような風圧による風切り音が皆無なのである。2000ccのターボディーゼルが発生するエンジン音と大径タイヤが発生するロードノイズはそれなりに大きいが、運転席で感じられる風切り音が少ないことはロングドライブではありがたい。

そのエンジンだが、さすがにこの大きな車体には若干非力で、とくに追い越し時などの加速ではまだるっこい印象も受けたが、発進時などはめいっぱいスロットルペダルを踏み込むと、かなり猛々しい咆哮と共に猛烈な勢いで加速してくれる。

燃費については、通常の市街地走行では1リットルあたり11~12kmといったところだが、ステアリングに取り付けられたパドルシフトを駆使して、ディーゼルのトルクを活かした高めのギアでの走行を心がければ若干は向上するようだ。ただし燃料は軽油なので、1リットルあたりレギュラーガソリンより20円ほど安いことから、実際の燃費よりも財布にはやさしいクルマである。

居住性は極めて高い。18センチのスライド機能を持つセカンドシートが機軸となって、さまざまなシートアレンジを可能にしている。運転席も、大きな三角窓が機能的で、ドライバーの司会を確保してくれる。

これはお借りした広報車固有の問題かも知れないが、唯一残念だったのは、運転席と助手席のドアの建て付けで、最近のクルマとしてはかなり力を込めて閉めなければならない感じだった。ほんの少しの調整で済むことなのだから、こうした細かいか所への配慮も忘れないで欲しいと思う。

フィット シャトル ハイブリッド

■ハイブリッドシステムについて

トヨタの「プリウス」とホンダの「インサイト」。どちらもハイブリッド車の代表車種だが、そのハイブリッドシステムは根本的にまったく違う。「インサイト」の場合は一般的にパラレル方式と呼ばれるもので、常にエンジンが車を走らせ、それをモーターがアシストするという考え方だ。「プリウス」の場合はこのパラレル方式に、常でモーターだけで車を走らせ、エンジンは発電を担当するシリーズ方式の利点を加味したもので、発進時などはモーターのみでの走行が可能になっている。従来、ホンダのハイブリッド車はパラレル方式であったが、最近登場した「アコード・ハイブリッド」では「プリウス」と同様のパラレル方式とシリーズ方式を組み合わせ、さらに進化させたハイブリッドシステムが採用されており、次回の試乗記ではぜひとも「アコード」を取り上げてみたいと思う。

■フィット シャトル ハイブリッド

フィットシャトルが登場したのは2011年6月。ベース車となる2代目「フィット」が登場したのは2010年で、発売当初からハイブリッドを搭載したモデルが設定されていた。翌2011年にはラゲージスペースを大幅に拡大した「フィット シャトル」が登場。ハイブリッドシステムも継承された。1500ccと1300ccの2種類のエンジンもそのまま継承されている。今回は、2013年秋に予定されているマイナーチェンジ直前の「フィット シャトル ハイブリッド」の1500ccモデルに試乗してみた。

初代「フィット」から受け継がれた良き伝統である広い室内とカーゴルームは、ホンダご自慢のセンタータンクレイアウトによるものだ。ガソリンタンクを客室内のシート下に配することによって、フラットで広大な室内空間が生み出されている。「シャトル」はホイールベースこそ「フィット」と同じ2500mmながら、全長で510mm、全高で15mm大きい。ところが、実際に見てみるとその差以上に見た目でも広いことが分かる。事実、リアシートを起こした状態でもカーゴルームは1020mmの長さがあり、シートをわざわざ倒さなくても充分な荷室が確保されている。

実際に走り出すと感じるのが静粛性の高さだ。「フィット」よりも明らかに静で、「フィット」よりも2cmだけ前に移動させることで後輪の車軸より前に位置するリアシートは、後席の乗り心地を大幅に改善したという。

走行についてだが、燃費を気にせずスロットルペダルを踏み込んでしまえば大きな問題はないのだが、とくに高速道路での追い越し加速時などで燃費を気にしながら遠慮がちにスロットルを踏むと若干の力不足を感じてしまうのは事実だ。燃費は、概ねガソリン1リットルあたり15~16kmといったところだが、蓼科にあるビーナスラインの下りで車載の燃費計をリセットしてみたら、ビーナスラインを出るまで99.9kmを表示し続けていた。そのまま中央高速の上り線に乗り、小仏トンネルの渋滞に遭うまで、ほとんど20kmを維持していたから、高速道路だけを取れば燃費はかなり良さそうである。

以上、三菱「デリカD:5」と「フィット シャトル ハイブリッド」を試乗してみたが、発売から年月を経て熟成されたモデルはやはり完成度が高い。新車の購入を検討する際に、旧モデルも試乗して比較みるのは良い方法かも知れない。ただし、色や仕様など、とくに工場のラインで装備されるメーカーオプション等については自由度が低くなることもお忘れなく。

ライタープロフィール
林 溪清(はやし けいしん)

ジャーナリスト・ラジオパーソナリティ。
コピーライターを経て執筆活動に入る。渓流釣りや自動車、旅行記を中心に執筆を続け、環境問題や省エネルギーについての著述も多い。
2009年からは江東区のコミュニティFM局である「レインボータウンFMの「大江戸ワイドSuper Saturday」のメインパーソナリティとして出演。こよなく江戸の「いき」を愛する、自称後発性江戸っ子として下町文化を発信し続けている。
2011年8月よりNPO法人「江戸まち通信」の代表として活動を開始。 江東区亀戸に「江戸まち茶屋」を開き、地域振興、地元商店街振興に取り組んでいる。
著書に『F1の秘密』(PHP文庫/PHP軽装版)、『究極のスピード インディカー』。

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